ページを選択

アフリカへサファリに行く

ンゴロンゴロ編(2)

アフリカへサファリに行く

ンゴロンゴロ編(1)

クレーターの動物たち

私たちは「ンゴロンゴロ・クレーター」にやってくる。
およそ3百万年前の大噴火が生んだ、直径20km、高さ600mの巨大なカルデラ。
これはちょっとほかにない。かつて見たことがないし、想像したこともない。それが最初の率直な感想。

この底にある丸い平野は、緑の草木が生い茂り、小川や沼が点在し、25,000頭もの動物たちが平和に暮らしているという。ガイドブックが呼ぶところの「動物たちの楽園」だ。

「ここで最後のゲームをするよ!」

シンバの陽気な号令で、ジープはクレーターの底へ降りる。下へ、下へ。600メートルの深さまで。くねくね曲がる急勾配の砂利道に揺られながら。時刻はちょうど日の出の時刻。太陽が穴の底、動物たちの平原をゆっくりと照らしていく。

そこは本当に楽園のようだった。
セレンゲティで見たような果てしない大平原ともまた違う。ここではすべてが凝縮している。そしてどこか牧歌的。

たとえば沼地では、カバたちが水をかぶって昼寝をし–––––

沼のまわりを散歩するのは、牙持ちのイボイノシシやガゼルたち–––––

そのとなりの草原では、アフリカゾウがのっしのっしと歩きながら草を食み、ずっと奥にはヌー、バッファロー、シマウマたちが映り込む。

川辺には、ライオンの恋人や赤ちゃん連れが寝そべりながらくつろいで、乾いた土地には、ハイエナたちが巣穴のまわりを歩き回る。

そして空を見上げると、カンムリヅルやサギたちが羽を広げて飛行する。

絶滅危惧種のクロサイは–––––きっとどこかに隠れているのだろう。

クレーターの底は明るく、多種多様な自然や植物、動物たちがぎっしりと詰め込まれている。
まるで限られた自然を上手にシェアしているかのように。