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以前バリ島を訪れた際、ウブドの村とその周辺をコテコテに観光してしまった……🐶

 

さて、ウブドのどこがよかったのか。

 

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ウブドの魅力(1)

島と世界が混じり合うグローバルな村 🌏

 

ウブドはバリ島の伝統と芸術の中心であり、また郊外には熱帯雨林と棚田が広がる美しい村だが、海外からの観光客や長期滞在者も多く、バリ島の伝統文化とグローバルなテイストが混在している。

たとえばウブド宮殿前の「ラヤ・ウブド通り」🍽、猿たちの棲む森へつながる「モンキー・フォレスト通り」🐒、それと並行した「ハノマン通り」☕️などの目抜き通りは、世界中から集まってくる客人をもてなすためのカフェやレストラン、ショップが賑やかに並んでいる。洗練されたお店もあって、熱帯雨林と棚田に囲まれた小さな「村」とは思えない充実ぶり。

またあちこちにヒンズー寺院が点在し 🙌、ウブド宮ではバリの伝統舞踊や音楽 🎶、美術館やギャラリーではバリの絵画が楽しめる 🎨

もともとここバリ島には島独特の宗教(バリ・ヒンズー)と結びついた伝統芸能・芸術が伝承されてきたのだが、その伝統がオランダによる植民地時代に西欧の芸術・文化と出合い融合する。その融合はさらに各地から芸術家らを引き寄せて、ウブドの村は世界へ開かれ、いつしか芸術の村と呼ばれるようになる。

要するに、ただの田舎ではない。

島の伝統と、西欧の文化と、各国からやってきた移住者や観光客。それぞれがゆるやかなバリ時間で溶け合った、ちょっと垢抜けた田舎なのだ。

 

▼ラヤ・ウブド通り/ハノマン通り

※ 上記写真に写りこむ巨大な棒は、バリ島版お盆「ガルンガン」の際に、家の前に立てられる竹飾り。「ペンジョール」と呼ばれるこの飾りは、祖先の霊が家に戻るときの目印になるのだそう。

 

▼モンキー・フォレスト/ウブド宮殿での伝統舞踊「レゴン」

 

ウブド宮で演じられる伝統舞踊は一見の価値があり、演目もいくつかあるが、後述する「ケチャ・ダンス」はウブドから離れた場所にある「ウルワツ寺院」がベストと聞き、ここでは宮廷舞踊の「レゴン・ダンス」を夜に観る。

 

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もしヨーガが好きならば、ウブドのヨーガ・スタジオで朝から汗を流すのもいいかもしれない。

ヨーガが苦手な私も試しに参加したところ、見事に身体を鍛え上げた超長身の女性インストラクター(おそらく豪州人)があまりに美しかったので、思わず見とれてしまったという 🧘‍♀️
まさにその名も”Radiantly Alive”。身も心も目覚めたら、近くのカフェで朝食を……
とまあ、絵に描いたような休日さえスタート可能 🌞

 

▼ヨーガ・スタジオ「Radiantly Alive」/向かい側「Buddha Cafe」のアサイーボウル

 それにしても、観光客向けのお店は、朝食ひとつとってもグローバル・トレンドと連動している模様 😶

 

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ウブドの魅力(2)

どこか懐かしい田園散策 🚶‍♀️🚶‍♂️

 

ウブドの中心部は車やバイク、観光客でたいへん賑わっているのだが、少し通りを外れるだけで、のどかな田園を見渡すことができる。
ウブドに来たら、美しい田園の中をたくさん歩くのがいい。

最初のおすすめ散歩コースは、ウブド宮そばのスターバックスから脇へ入る、Jalan Kajeng Walk。ここから小道を辿っていくと、あぜ道をぐるりと回るお散歩コースが待っている。

歩いて数分もすれば、さっきの喧騒はどこへやら、まるで別世界に迷い込んだ気分になるのだが、その風景はなぜだか妙に懐かしい。
その感覚は、かつて自分がどこかで見てきた田園の、遠い記憶にアクセスしているかのような………

 

 

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そういえば、このとき泊まっていた宿も、忙しない道路から一本路地を曲がっただけで、驚くほど長閑な空間につながっていた。

こんなふうに、ボロボロの家屋のあいだを抜けていくと、すぐそこで田んぼが開け……

 

茅葺のヴィラが現れる。

雨が降ると、辺りはカエルの大合唱で…… 
私はいつかに慣れ親しんだ鳴き声を、20年ぶりにここウブドで聴くことができたのだった。

 

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それからもう1つ、おすすめの散歩道は、Warwick Ibah Hotelの脇から入るコース、Campuhan Ridge Walk

ここは1つ目のコースとは違ってアップダウンがあるために、ちょっとしたハイキングに近いかもしれない。お水を持って、朝早く出かけるのがおすすめなのだと、どのガイド記事にも書いてある。

またこの道は、もっともインスタ映えするコースだという声も多くある 📷💫
なるほど、たしかにそれはそうかもしれず……

というのは、本当にこんな感じだから 👇 

 😇😇

 

 

 

▼疲れたら、見晴らしのよい「Karsa Cafeで休憩

 

今回は時期的に、バリ島でいうお盆(ガルンガン)の祭事と重なっていた。

人びとは正装し、スクーターやバイクに乗ってお供え物を運びながら、それぞれのバリ・ヒンズー寺院へと向かっていた。

 

 

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ウブドの魅力(3)

あらゆるところに宿るバリ・ヒンズー 🙌

 

インドネシアは人口の87%がイスラム教徒であるのだが、ここバリ島では人口の90%がバリ・ヒンズーと呼ばれる独自のヒンズー教を信仰している。

もともと4、5世紀にジャワ島を通じて、インドからヒンズー教や仏教が伝わったと言われている。しかし16世紀になると、インドネシアに広く勢力を広げていたヒンズー教王国がイスラム教勢力によって衰退。その際、ヒンズー教王国の僧侶や貴族が多くバリ島に亡命したため、バリ島でのヒンズー教化が一気に進み、のちバリ・ヒンズー教として確立した。

バリ・ヒンズーの根幹は、あらゆるものには善と悪とがかならずあること、そのバランスが保たれることによって世界が成り立っているのだという考えかたなのだそう。これは記事で読んでもそうだったし、バリ現地の人に聞いてもそうだった。

「すべてのものには善と悪がともにあります。善だけでもダメ、悪だけでもダメ。両方かならず必要ネ」

 

▼昔ながらの住宅にある石像

 

👆石像が腰に巻く布には、赤・黒・白の三色が使われており、ヒンズー教で三位一体と呼ばれる三大神のカラーを表したもの。ブラフマーが火の赤、ヴィシュヌが水の黒、シヴァが風の白だ。

 

▼バリ・ヒンズー寺院へ正装してお参りに入る家族(ガルンガンの祭事のため)

 

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この極めつけがウブド郊外にある「聖なる湧き水」で有名なティルタ・ウンプル寺院だ。

昔、インドラ神がこの聖水によって魔王に殺された他の神々を蘇らせたという伝説があり、お参りに来る信者が絶えない。

 

▼ティルタ・ウンプル寺院で沐浴する人びと

 

 

その「聖水」は 下記の泉より湧き出しているのだが、この泉の雰囲気が尋常ではない。
きれいに澄んだ池の水が、中央あたりでゆっくりと渦をともないうごめいて、そこが湧き出る中心部と思われる。

バリ・ヒンズーの人びとを癒す力の源がここにある。

 

▼湧き出る泉

🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌

 

 

ウブドの魅力(4)

郊外のライステラス 🌾

 

ライステラスは、丘陵に作られた棚田(水田)のこと。

バリ島の景色と聞いて、まず思い描くのはライステラスかもしれない。世界遺産にも登録されていることから、絵葉書やお土産ものの顔となっている風景だ。

観光用のライステラスはいくつかあるが、ウブド中心部から車で20〜30分(公共交通機関がないのでタクシーかチャーター)と比較的アクセスしやすいライステラスは「テガララン(Tegalalang)」という名前。

ライステラスは観光客が中を歩き回ることができる。
棚田なので登り降りはあるが、実際に歩くことでさまざまな景色を楽しめる。

👆このように、同伴者に担がれて、棚田の中に打ち上げられることもあり 👀

景色の向こうに並んでいる建物は、ほとんどがカフェやお土産もの屋さん。見ての通りめちゃ観光地なので、もっと静かな棚田を見たければ、中心部からなるたけ離れた遠くの棚田へ行ったほうがよいのかも。

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ライステラスの奥へ奥へと進んでいったら、端のほうに一軒の小屋があり、農夫のおじいさんがひとり座って私たちを待ち構えていた 😅

おじいさんは子どもたちに楽器で遊ばせてくれたあと、マンゴスチンを買ってほしいということで、試しにすこし頂いた。

マンゴスチン、たいへん美味 👍

 

そして再び、あぜ道を通り抜けて、帰路へつく。

 

▼途中、キンタマーニ高原の眺め

 

 

 

最後の魅力は、バリ島の伝統舞踏「ケチャダンス」。

ケチャダンスを鑑賞するには、ウブドを離れてバドゥン半島に渡り、その断崖に建てられた「ウルワツ寺院」で観るのがベストとのこと。

なので正確には「ウブド」の魅力と言い切れないが、はるばるウブドまで来たのなら、バドゥン半島ウルワツ地区へ足を伸ばす価値はありそうだ。

 

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ウブドの魅力(5)

ウルワツ寺院のケチャダンス 🐒

 

ケチャダンスは、バリ島の男声合唱の舞踏劇で、古代インド叙事詩「ラーマーヤナ」を表現している。

この舞踏劇を最大限に楽しむためには、やはり事前に「ラーマーヤナ」を知っておくこと(読みやすく&短く翻訳された本はこちら)、すくなくとも大まかなあらすじは理解しておくことがおすすめなのだが、もし何もわからなくても会場で配られるパンフレットで簡易版のあらすじが紹介される(日本語もあるよ)。

 

結果は期待以上、
とてもよかった。

それにしても叙事詩「ラーマーヤナ」はすさまじい物語の力を宿している。

 

 

▼断崖にあるウルワツ寺院のケチャダンス会場

☝️大変に人気なので、ウルワツ寺院自体の見学もほどほどに(いずれにせよ寺院の中には入れない)、会場に移って早めに席を確保したい。

 

▼会場の向こうは海、演舞は日の入りに

▼入場前/満員の観客席

 

 

ふと見回すと、観客数が多すぎて、まったく席に収まりきらない 😅
「しかたがないので舞台の隅に座ってくれ」という係員の指示にしたがうも、これでは役者(男声合唱団)の座る位置。

左右隣は、中国人団体客(もちろん)とヒップホップなアフリカ系お兄さんだった。

 

 

▼火が灯され、男声合唱団入場

 

▼主人公の王子ラーマとその妻シータ

ラーマは王子でありながら、訳あってその身を終われることを承諾、妻のシータと森に入って隠遁している。そこへ魔王のラーヴァナがシータを連れ去ろうと、黄金の鹿を使ってシータを誘い出し、ランカ王国へ連れ去っていく。
(ラーマはヴィシュヌ神の生まれ変わりで、ヴィシュヌ神は魔王ラーヴァナを討伐するため、来世でこの王子に生まれ変わることになっていた)

 

▼ハニューマン

残されたラーマは、シータを助けるために猿の王と親交を結ぶ。猿の王が全世界に猿の軍団を派遣したところ、猿のハニューマン(風の神の生まれ変わりで空を飛ぶ)がシータの居場所をつき止める。この猿がシータ救出の鍵となる。

 

▼魔王ラーヴァナとの戦い

ラーマの軍と魔王ラーヴァナの軍の戦いの末、魔王ラーヴァナが倒される。

🧚‍♂️こうしてかいつまんで言ってしまうと「なあんだ」という感じがするが、本来もっと色々、色々、色々ある。

 

 

▼終演

 

 

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バリ島と言うと、たしかにビーチ・リゾートを思い浮かべる人もいるだろう。

けれどもビーチ・リゾートで何をするのかというと、おおむねどこも同じような感がある。つまり、こぎれいなホテルが立ち並び、砂浜(あるいは小石や岩の浜)があり、世界中から休暇に来た観光客がビーチに寝そべって、泳いだりサーフィンしたり、居眠りしたり本を読んだり、スマートフォンにかじりついたり、ゴロゴロくつろぐ場所。

もちろんそういう絵に描いたようなビーチ休暇もいいけれど、せっかくならば個人的にはもうひと声、もうふた声、文化的・活動的要素があるのが好み。

ウブドはそんな意味でもとてもよい場所でした。