ページを選択

教育方針!といって掲げられるようなものはないが、子どもには自分で楽しく暇をつぶせるようになってほしい、あと英語だけは操れるようになってほしい、と常日頃伝えている。前者は一見かんたんなようで、人によって実はけっこう難しいんじゃないかと思うのだが、いまはちょっと英語の話。

☆☆☆

英語については残念ながら、親が自力で教えることができないので、Preplyというオンラインの個別指導サービスを利用して、英語講師へレッスンをお願いしている。これまでだいたい週1〜2回、ときどき休みも挟みつつ、使い始めておよそ2年が経過した。最初のうちは「ほんとうに続くのかな?」と思ったものの、子どものほうも予想以上に楽しんでいるようだ。レッスンのあと、いちおう私も「どうだった?」と聞くのだが、大抵いつも「よかった」とか「うん、普通」とか返ってくる。「もうやめたい」「やりたくない」は一度もない。レッスン中も子どもの笑い声やハツラツとした調子が聞こえてくる。成果もある。

Preplyは、世界中の講師と生徒を結びつける個別指導(チューター)のプラットフォームで、とりわけ言語学習につよい。2013年にウクライナで創業し、その後ロシアや東欧、西欧へ進出。現在Preplyに登録している生徒は10万人、講師のほうは4万7千人。ぱっと検索してみると、ちょうど1週間ほど前、$10Mの資金調達に成功し、欧州と北米へ進出するという記事が出ていた。昨今のコロナウィルスの影響もあり、休校が相次ぐ米国や英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペインなどで講師登録が急増しているらしい。

 

1時間あたりの料金はそれぞれの講師が設定するので、講師によってまちまちだが、平均すると$15〜20なのだそう。

利用者は予算やスケジュールはもちろん、自分の目的にフィットする講師を探し出せるかが鍵だと思う。講師探しのフィルターは、言語/科目、1時間あたりの料金、出身国、時間帯のほか、専門分野(たとえば子ども向け英会話、ビジネス英語、ESL、SAT、TOEIC…)やネイティブスピーカの是非などでも絞り込める。

講師のページをクリックすると、講師のプロフィール、ビデオ・メッセージ、教えられる言語や科目、これまでこなしたレッスン数、話せる言語、希望する生徒の年齢やレベル、空いているスケジュール、利用者によるレビュー、学歴などを閲覧できる。

Preplyの技術的な強みは、機械学習による講師と生徒のマッチングの効率性で、生徒側からしてみれば、より自分に適した講師候補をPreplyが自動的に提案する仕組みになっているらしい。

ためしにここで、言語/科目を「英語」、専門を「子ども向け英語」、ネイティブかどうかを「ネイティブ」で講師検索をかけてみた。ついでにこれをPreplyの日本語サイトと、英語サイトでまったく同じにやってみた。すると日本語サイトでは、日本語が話せる講師や日本に住んだことのある講師がずらずらと表示されてくるのに対し、英語サイトではこれとまったく別の顔ぶれが並べられた。

ちなみに自分は2年前、どういう条件で講師を探したのかと思うと、たぶんこんな感じだったと思う:
言語/科目「英語」
出身国「英国」
時間帯「15〜18時」&「18時〜21時」
専門「子ども向け英語」「イギリス英語」「科目としての英語」
ネイティブかどうか「ネイティブスピーカー」
この場合、レッスンの目的が、ネイティブの子どものように英語(国語)を学ぶことであり、以前通っていた英国の公立小で学ぶ英語の延長に近いレッスンを行うことであったので、そういう意図のフィルターになっている。けっこうマニアックな意図だと思うが(笑)、、、

こうして意図的に条件を入れて検索すると、Preplyがそれに合う講師候補を表示してくれるので、上から順にまず10人、それぞれの講師のプロフィールを見ていく。このとき、上記の自動フィルターでは検索しきれなかった条件があればチェックする。私の場合は「英国の小学校で教員経験があるかどうか」であった。あとはレビューの内容に目を通し、この段階でピンときたら、最後に自撮りのビデオ・メッセージを見て、垣間見れる人柄にも目を留めた。
もし、その10人でピンとくる講師が見当たらなければ、次の10人のプロフィールを読んでみる。そうこうするうち「これは☆」と思う人に行き当たる。

結果的に、イギリス人の女性講師Eさんに、2年ほど継続してお世話になっている。この先生は、英国北部にある小さな個別指導センターを運営しながら、現地の子どもたちに個別指導を行っている先生で、以前はロンドン近郊の小学校で英語教師をしていた。彼女は教育者であり自営業でもあるため、スケジュール管理にかかわる事務作業もきっちり手早く進めてくれる。
また別に、1年ほどお世話になっているイギリス人の女性講師Lさんは、キプロスで英語教師として働くかたわら、オンラインのPreplyでも英語を教えている。家族の都合で世界のさまざまな国に住みながら、現地で英語を教えてきたのだと彼女は言う。「アジアでは日本と韓国に住んだことがあるわ。大阪のたこ焼き、お好み焼きも知ってるわよ」
ほかにも途中からお世話になり始めた先生もいるし、途中から双方のスケジュールが合わなくなったり、ときどきレッスンをすっぽかされたりする場合もあったりで、残念ながらレッスンをやめることになった講師もいる。

レッスンの場はPreply Spaceと呼ばれ、そこに講師と生徒が入って、チャット機能やスクリーンシェア機能のついたビデオ画面で授業が進む。ちょうどスカイプを使っているような感じが、通常のレッスン・スペースだ。

いっぽう、Preplyサイドで意図的にセレクトされた講師には、Classroomと呼ばれる、さらに機能を実装したレッスン・スペースが試験的に提供される。運よくその講師にあたると、この実験版を利用する機会にめぐまれる。先ほどのE先生は、Preplyサイドから任命されて、通常のPreply Spaceではなく、Classroomを使っていつも授業を行っている。
授業中は、講師が生徒と教材を共有し、必要があればお互い直接そこへタイプインしたり書き込んだり、あるいは授業後に先生が宿題を出したり、生徒がそれを提出したり、実力や成果を測るテストを実施したりすることができる。

というわけで、少しマニアックな例になってしまったものの(笑)、自分にフィットする講師選びは肝心で、それがほぼすべてと言っても過言ではないと思う。そのためには、学習の目的をあきらかにして、意図的に講師を探し出すことだ。機械的な検索システムをベースに、それだけではフィルターがしきれない条件やスキル、資質をさらにブレイク・ダウンし(重要)、よさそうな候補者を見つけたら、トライアルの授業をセットする。最後は実践で見極めるのがベストと思う。

ちなみに、Preplyは言語につよいチューターサービスではあるが、いちおう他の科目もある。たとえばローマ帝国のファンで、さらに深く学びたいと思ったら、隙間時間を利用して、欧州の大学で専門的にこれを教える(教えていた)先生に英語で個人授業を受けるなんていうのも、余裕があれば楽しそうだ。いま、文学の分野を検索したら、アメリカの大学で現代のアメリカ文学を教えている准教授が表示された。
チューターというカテゴリだけでもPreplyに限らずいろいろあるし、社会人向けの知識やスキルの分野ではUdemyやCourseraなどの巨大サービスも充実している。

昨今のコロナウィルスの影響でオンライン学習の需要はますます高まりそうだが、そんな中、先ほどのE先生から連絡がきた。
「5月下旬以降のレッスン枠をできるだけ早く確保することをおすすめするわ。そうでないと、私の香港の生徒のお母さんがみんな予約しちゃうから!」
E先生には小さなお子さんがいるので、じっさい彼女の稼働枠はかなり限られている。よい人材であればあるほど、あちこちで取り合いになるというのは世の常なわけなのだが、、、まさか自分が香港のお母さんと同じ先生の枠を取り合うことになるとは思ってもみなかった(べつに取り合わないけれど 笑)。

☆☆☆

それにしてもコロナウィルス−−−−まずは感染された方々の命がどうか救われること、感染拡大が収束すること、新薬が開発されることを切に願うばかりだが、非感染者にとっては不要な外出の自粛、ソーシャル・ディスタンシング、リモートワーク、学校や施設の休校/休館、内面的な孤独への耐性、そして暇つぶしのスキルなどが試されてくる。冒頭の、楽しく暇つぶしできる力ついては、10年先か20年先か、あるいはもっと先なのか、いつになるかは分からないけど、いつか来る人類の「暇」時代に向かってますます大事になるなと地味に思ってきたけれど、、、

健康と安全に気をつけながら、籠もって暇を楽しくすごしたいです。